● 簡 月真(かん げっしん)(大阪大学大学院)
【発表タイトル】台湾における言語接触 

【要旨】 
 本発表は,台湾の言語生活において日本語の果たす社会的な役割を把握したうえ,
その用いられている日本語の言語学的特徴について分析を試みたものである。
第1節で台湾の言語事情を,また第2節で先行研究を概観したあと,第3節で現地調査
によって得られたデータに基づき、植民地時代で日本語教育を受けた世代の現在の言
語生活における日本語の機能として、
(1)異なる言語集団の老年層の接触場面での共通語
(2) 日本語ができる家族や隣家との間での秘密ごとを話し合う場合の,いわゆる隠語
(3) 心の中での祈りや暗算する際の使用言語
であることを明らかにした。 
そして,日本語学習歴が短いが、日本語を伝達の助けとして必要としている70代の女性
による発話をとりあげ、語彙記述を試みた。その日本語には,(a)丁寧体の不使用、
(b)ビン南語の人称代名詞の多用,などのような特徴が見られる。丁寧体の不使用は文体
面での単純化で、ビン南語の人称代名詞の多用は意味の透明化をはかったためと考えられる。
sun0912@hotmail.com

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