「台湾のテレビ・コマーシャルに見られる多言語化現象」

 

発表者:林 欣儀 大阪大学大学院社会言語学専攻D2

e-mail:linhsini@hotmail.com

❖要旨:

 台湾は一つの多民族・多言語社会である。日本の九州とほぼ同じ大きさの土地で、4つのエスニック・グループが居住し、それぞれ自分のエスニック・ランゲージを持っている。多民族・多言語社会であるため、当然のことながらエスニック・グループ同士の交流が行われ、言葉間の接触も起こっている。とはいえ、各エスニック・グループの人々もしくは各エスニック・ランゲージが平等な立場に立ち、同じ程度で接触しているというわけではない。錯綜な歴史的・社会的事情が台湾社会の複雑な言語使用状況を作り出している。

本研究は、台湾社会での言語使用実態、とくに近年顕著になった言語切り替えという言語現象について言及する。研究対象として、テレビ・コマーシャルを分析し、日常の会話ではなく、テレビのスクリーンという公的な場でどのような切り替えのパターンが現われるかを考察する。

近年、バイリンガリズムおよび言語切り替えという研究テーマにスポットが当てられ、各国の研究者たちが様々な視点から研究を行っている。が、彼らの研究対象はほとんどが人々の会話、とくに家庭や職場などのドメインに集中している。公的な場での発話を対象とする研究は、管見の限りではそれほど多くはない。本研究は、多言語社会での言語使用に関する研究として、とくに公的な場での言語切り替えに関する一研究として位置付けたい。

  ❖レジュメの構成

  はじめに

  台湾の社会言語学的事情

  先行研究および調査概要について

  分析結果

  まとめと今後の課題

❖キーワード

 台湾華語、台湾閩南語、言語接触、言語変化、バイリンガリズム、言語切り替え

 

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